こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
コラムを書くようになったのでネットの物件を見る機会が増えました。
夢のある広告が多いとよく感じます。夢のマイホーム!落ち着いた住環境!ローンも安心!
広告に共通していえるのはポジティブな部分を膨らませて、ネガティブな情報は小さな文字でこっそり書いてあるというのがぼくの認識です。たしかに広告という意味ではそれで大事なのですが、ネガティブ要素を知っておかないと計画そのものが頓挫することもありますので、ご注意を。
昨日のコラム
土地を購入する時の注意点。地盤改良費に気をつけよう!
https://www.kurachic.jp/column/976/
のお話に続き、今日も土地購入における注意点のお話です。
セットバック有りの土地に注意
インターネットの物件情報を見ていたら、このような物件を見つけました。
その区の相場からすると一見、相場よりも安く、お買い得のような土地に見えます。
"セットバック"という言葉が書いてあるのがわかるかと思うのですが、"セットバック"とはなんでしょう?
セットバック
行政の考え方ですが"防災に強い町づくり"として消防車が入れるように行政はしたいと考えています。
ところが古くからある道路ですと、前面道路の道幅が4mなかったりします。
これだと非常に狭く、万が一の時に消火活動が遅れるおそれがあります。
ですので、行政としてはなんとか道路幅を4mにしたいと考えています。
住んでる人にいきなり前面道路分の土地を明け渡して建て替えろ!というのは難しいですから、建て替える時に土地の後退(セットバック)をお願いしているのです。この道路を専門的には"法42条2項道路"とか"みなし道路"と呼びます。
上記の図はセットバックしている土地としていない土地が入り組んでる状態をあらわしています。
中心線から2mずつセットバックしてほしいわけですが、オレンジ色の土地に関してはセットバックの処理がなされていない状態です。緑の土地に関しては建て替えが終わりセットバックしている状態をあらわしています。
これを実際の道路で見てみましょう。
手前の土地がセットバックがなされている部分です。
奥側の土地は建て替える時には矢印分、敷地をセットバックしなければなりません。
話を戻します。先ほどの物件情報としてでていた土地ですが、64m2のうちの6m2がセットバック部分になります。
土地の販売価格はこのセットバック部分も含まれています。ですので、実質として有効な面積は58m2となり、その面積から建ぺい率や容積率が算定されます。
セットバックした土地の処理は自治体によって異なり、行政に無償譲渡、無償使用承諾等の処理がなされます。
一部の自治体では買い上げてくれるところもあるようですが少数です。
個人的な経験から言えば、都内は無償譲渡のパターンが多かった印象です。
ですので64m2で2000万円と売りに出ていても、実際は58m2で2000万円なのです。
ちなみにセットバックをすると自治体から道路を"セットバックしましたよ"という記録になるプレートがもらえます。
建物に与える影響
64m2から58m2になった土地ですが、まずはわかりやすいように坪に変換します。
64m2→19.36坪
58m2→17.54坪
約2坪少なくなった計算です。
東京の狭小地において、建築する際の二坪は大きいです。
多くのメーカー品のユニットバスのサイズは1坪から1.75坪で設計されています。
東京の狭小地においてユニットバス一つ分ロスするのはもったいない気もします。
2坪あればウォークインクローゼットが作れたかもしれない。など考え始めるとなんだか損したような気分になりますね。
狭小地における設計はパズルのようなもので、階段の位置をどこにするかでほとんどの間取りパターンが決まると言っても過言ではありません。2坪減ったことにより階段の位置の変更が生じると、全体的に間取りを変えなければいけない場合もあります。
セットバック分が全体の設計バランスを大きく崩すことも考慮しなければなりません。
まとめ
お得だから買うのではなく、買う前に一度、設計プランを練ってから買うようにしましょう。
あとあとの後悔も少なくてすみますし、建築計画もスムーズです。
また、セットバック前の土地の坪単価とセットバック後の坪単価の計算もお忘れなく。
それでは!!