こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
東京でマイホームを持ちたいという人は多いはず。
先祖代々の土地でもあればいいのですが、地方から出てきて土地もない。
子供の進学のタイミングでローンを組んで戸建て住宅を建てたいなぁと思う人はたくさんいるかと思います。
実際、ぼくが戸建て住宅の営業をしていた時には本当にそういう考えのお客さんが多かったです。
先日、山手線の内側で第一種低層住居専用地域に住むならいくらぐらいかかるのか?というコラムを書きましたが、CMに出てくるような大手のハウスメーカーで建てるなら土地代込みで1.5億円ぐらいかかると思われるという試算がでました。
普通の雇われのサラリーマンには難しいかもしれません。(親からの援助があれば別ですが)
山手線圏内の高級住宅地。文京区と豊島区の第一種低層住居専用地域
https://www.kurachic.jp/column/972/
山手線圏内の高級住宅地。品川区と渋谷区の第一種低層住居専用地域
https://www.kurachic.jp/column/974/
さて、そうなると山手線の内側で第一種低層住居専用地域は予算の問題で候補からはずれます。
土地の坪単価が安いところで東京23区となるわけですが、安いところにはそれなりの理由があったりします。
今日はその問題点について考えてみたいと思います。
これは東京都の高低差をあらわしたデータです。
足立、江東、墨田、江戸川、葛飾、荒川区は青色の部分が多いので比較的標高が低いエリアということができます。
このエリアはやはり文京区や渋谷区や豊島区から比べると土地の値段も安かったりします。
下町が多く広がるエリアでもあるので、古くなった住宅ごと売りに出ているケースもしばしば見受けられます。
2015年1月から12月の各区の平均土地相場です。
足立区 | 27.05万円/m2 89.26万円/坪 |
江東区 | 47.53万円/m2 156.84万円/坪 |
墨田区 | 46.01万円/m2 151.83万円/坪 |
江戸川区 | 35.84万円/m2 118.27万円/坪 |
葛飾区 |
30.30万円/m2 99.99万円/坪 |
荒川区 | 41.22万円/m2 136.02万円/坪 |
平均価格 | 37.99万円/m2 125.36万円/坪 |
※データは、レインズ、アットホームのデータを暮らしっく不動産が独自で編集したもの。
文京区 | 91.15万円/m2 300.79万円/坪 |
比較データとして文京区のデータを書いておきます。
※データは、レインズ、アットホームのデータを暮らしっく不動産が独自で編集したもの。
上記のデータから見ていただいてもわかるように、東京の東側、いわゆる城東エリアは価格がわりあい抑えめな傾向にあります。
もちろんこれには、都心までのアクセス分数といった交通の問題、周辺環境の問題、様々な要因が含まれています。
軟弱な地盤
要因の一つとしてもう一つ。戸建て住宅の営業をしていた時にこのあたりの土地で思ったのが軟弱な地盤が多かった。ということ。
戸建て住宅を建築する時には多くの場合、地盤の調査をします。
ぼくが勤めていたメーカーは鉄骨系のメーカーでしたので、建物の重量も重くなるのと、3F建てが多かったので必ずといっていいほど地盤調査をしました。
専門の業者にお願いして、どれぐらいの深さにどういう土があるのか?という検査です。
どういう調査方法なのかの詳しい説明はここでは割愛しますが、わかりやすくいうと、鉄の棒を30cm沈めるのに何回その棒を打痕もしくは棒を沈めるためにハンドルを回転させたのか?というような方法で調べる方法があります。
50kgや100kgのおもりをつかって機械で沈めていくものもあれば人がハンドルをまわして操作するものもあります。
参考データ:東京都土木技術支援・人材育成センター(http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/geo-web/00-index.html)
これは江東区のとある地点の調査データです。
7mより深い地点は打撃回数0回で棒が沈んでいっているのがわかるかと思います。
1.5m付近が一番強度が出ていますね。
次に文京区のとある地点のデータを見てみます。
参考データ:東京都土木技術支援・人材育成センター(http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/geo-web/00-index.html)
本郷台地に属する、とある地点なのですが、先ほどのものと比べるとどうでしょう。
波はありますが、地中にもぐっていけばいくほど程度の強固さがでています。
土地として非常に優秀。
軟弱地盤でも家は建つ
もともと海だったり、湿地だったりした場所を埋め立てて作られたのが江戸ですから、当然といえば当然の結果。
でも心配する必要はないです。こういう場所でもきちんと家は建てられるのです。
表層改良
軟弱な地盤が少しであれば表層改良を行います。
一般的にはそこの土地の土とセメントをまぜて行うようです。これが一番ライトな処理方法ですね。
柱状改良
コンクリートの柱のようなものを土地に何箇所も打っていき、支える方法です。
杭打ち
鋼管杭を強固な地盤まで打ち込んで建物を支えます。
余談ですが、一時期前に話題になったマンションの杭打ちデータ偽装問題はここの杭が強固な地盤に届いていなかったというお話ですね。
三井不動産の傾きマンション。 一体何を信じればいいのか。
https://www.kurachic.jp/column/746/
費用
と、このように様々な方法で軟弱地盤でも建てられる方法はあるのですが、その費用も様々で杭を打ち込む本数や広さ、打ち込む深さで値段が変わってきます。50万円程度で済む処理もあれば300万円を超えるような場合もあるということです。
このへんの判断はハウスメーカーや設計士さんにもよりますので、これはいくら!と言い切れるものではありません。
何が言いたいかというと、安く土地を買っても、土地の改良にお金がかかる場合があるということです。
土地購入をシミュレートしてみる
例えば、15坪の土地を購入しようと考えていたとします。
足立区の平均が89万円/坪 15坪に換算すると1335万円だったとします。
次に安かった葛飾区の平均は99万円/坪 15坪に換算すると1485万円。
いっけんすると足立区のほうが安いですが、仮にとても軟弱な地盤だったとします。
300万円の杭打ちの費用がかかったとしたらどうでしょう?
足立区は15坪1635万円。
葛飾区は15坪で1485万円。
150万円もの差がついて足立区のほうが高くなってしまいました。
このように土地の値段が安からお得!に見えているだけで、土地から買って家を建てる際には「見えにくいお金がかかってくる場合がある!」ということを覚えておくといいでしょう。
さいごに "歴史と通勤ラッシュと個人的見解"
こういう記事を書くと"やっぱり文京区とかいいよなぁ、地盤安定しているし。"
なんて思うのですが、歴史的に考えてみても文京区や目黒区や渋谷区って政府の要人や財閥の人が住んでいた街だということを思い出します。
特に明治期以降のお金持ちが住んでいたような気がしているのですが、はたしてそこに住むだけの資産っていくらなんだろう?とか考えると、やっぱりそういうところに住めるのは現代においても、必然的にそういうクラスの人になってくるなぁと思うのです。
どこに住んでもいい世の中といっても、その言葉の裏には"お金を持っているならね。"という意味合いが含まれているような気がするのです。
悲しいことではありますが、年収によっても住むエリアが異なってくる現実があるということを嫌でも理解せざるをえません。
住みやすい街に住みたいのか、ブランドのある街に住みたいのか?そこを考えると、必ずしも文京区や渋谷区である必要はなく、都内でも素敵なところはたくさんあるのです。自分にあった場所に住めばいいのです。
その結果が朝の通勤ラッシュにあらわれているのです。
みんながいいと思うところには街が発展する理由があるのですが、出勤する会社は都心部なので同じ時間にたくさんの人が移動します。
年収の同じぐらいの人が同じ時間に似たような街から移動することによって起こる現象が通勤ラッシュだと思っています。
通勤ラッシュは不幸せ
https://www.kurachic.jp/column/772/
自分にとって住みよい街とは?
今一度考えてみてはどうでしょうか?
それでは!