こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
1月17日。今日は21年前に阪神大震災のあった日です。
当時小学6年生で九州の小学校に通っていたぼくは、教室のテレビでこのニュースを知ったことをいまだに覚えています。
その後、縁あって建築や不動産の仕事をするようになったわけですが、阪神大震災がもたらした建築に対する変化を今日は書いていこうと思います。
先ほど発見したのですがちょうど一年前に門伝のほうでも阪神大震災の日に記事を書いていました。
覚えておくと便利な地震対策
https://www.kurachic.jp/column/661/
見直された耐震基準
朝の5時46分に起きた阪神大震災。
朝食の準備で火を使っていて火災による死者が増えたという話もありますが、多くの人は建物の倒壊による圧死だといわれています。(NHKのテレビ番組では90%の人が圧死だと紹介していました。)
特に多かったのが1981年以前に建てられた木造住宅。
なぜ1981年なのかといえば、ご存知の方も多いかと思うのですが、1981年に大幅に建築基準法が改正されたからです。
1981年以前のものを旧耐震。1981以後のものを新耐震というのですが、比較してみます。
耐震基準
旧耐震
中程度の地震(震度5程度)が起きた場合→建物がほとんど損傷を受けないこと。
大きな地震(震度6?7程度)が起きた場合→規定なし。(想定されていなかった)
新耐震
中程度の地震(震度5程度)が起きた場合→軽微なひび割れにとどめ、建物の構造に損害が生じないこと。
大きな地震(震度6?7程度)が起きた場合→人命に危害を及ぼすような倒壊等の損害を生じないこと。
参考資料:国土交通省 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
下の動画は1981年以前に建てられた木造の家を揺らしたものです。
片方は補強あり、片方は補強なしです。補強無しだと二階建ての家が一階建てになってしまいました。
筋交い
また倒壊した建物の多くは筋交いが少なかったとも言われています。(旧耐震にはそのような基準はなかったので)
筋交いが少ないとどのようなことが起きるのかは下の図を参考にしてください。
まとめると、1981年より前の基準で作られた住宅は震度6?7は想定されておらず、筋交いの量も少ないということがいえます。
筋交いが多いほうがもちろん良いにこしたことはないのですが、問題点もあります。
設計の自由度が減る!
ここに窓を作りたいなぁーと思っても筋交いをはずすことはできないので、大きな開口部が作れなかったりします。
ビル構造のように鉄骨の太い柱と梁で支えることができれば筋交いがいらないので、大開口が取ることができます。設計の自由度は高いが建築費は高め。
震災以降の住宅メーカーの対応
各種住宅メーカーが建てた新耐震基準以降の建てた建物の多くは全壊することなく残ったそうですが、ここから各住宅メーカーが目指したのは"繰り返し起こる地震に強い家"です。
大手の住宅メーカーは実物大の家を建てて、地震発生装置の上に乗せてデータを取得したりしていました。
何故こういう発想になったかというと、大きな地震は一回だったりしますが、余震はしばらくの間続きます。
大きな地震+余震に耐えうる家を作ろうとしたのです。
建築基準法上の基準値は大幅にクリアしているので、長く住める家を目指したというところです。
過剰スペックという見方をすることもできますが、一回の地震に耐えうる家なのか、繰り返し起こる地震に強い家なのかというところで建築費に差が出てくると言えます。
各住宅展示場に行くと、実際の建物を揺らしてみた実験ムービーを所持しているところは多いです。
興味がある方は見せてもらってください。
賃貸に関係があること
築浅な物件はもちろん内装も綺麗ですし、手抜き工事をしていなければ想定外の地震がこないかぎりはおそらく大丈夫だと思います。しかし、やはり新しい建材や工法で作られた建築物は建築費も高くつきます。
高くついた建築費は家賃に跳ね返ってきます。
見た目のかっこよさや綺麗さだけではなく築年数も考えてみるといいかもしれません。
さいごに
たしかに安いものはありがたいですが、安いものには安いなりの理由があり、モノには相場があります。
そこを考えていくと自分は家に対してどこまでお金を出していいのか?というのも見えてくるかもしれません。
考え方は人それぞれです。
阪神大震災の日
今一度、建物の安全性について考えてみましょう。
それでは。