こんにちは暮らしっく不動産の門伝です。
NHK「クローズアップ現代」で「サブリースの問題」が取り上げられていました。
アパート建築が止まらない ~人口減少社会でなぜ~
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3648_all.html?utm_content=buffer23da4&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
その後2017年になって大きな問題となってきました。
「サブリースで大損した人」がハメられた手口(東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/183151
平成30年10月に国交省がついに注意喚起
サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!(国交省)
「サブリースで騙されている人多いなぁ、かわいそう...」とかなり前から思っていました。
付き合いのある大家さんも「聞いてない」「聞いてない」と当初言われていたことと違っていて、かなりがっかりされていました。
サブリースは、はっきり言ってほとんど詐欺です!
ちょっと大げさですが、詐欺同然の商法だと思っています。
(健全なサブリースを行っている会社もあります)
普通に考えれば「それ詐欺同然でしょ!」と思う人が多いと思います。
昨日のTwitterのタイムラインでも「詐欺に近い」という印象を持った人が多かったです。
サブリースのアパート考えたヒトはアタマいいナー...。半ば詐欺だよねコレ。 #nhk
サブリースの営業とかしたくないな ほとんど騙すのに近いし
このケースのサブリースなんて半分詐欺みたいなもんだよ。そもそも30年保証なんてできるわけない。
こんなコメントがタイムラインに上がっていました。
サブリースは、大家さんが損をするような仕組みです。
「家賃保証」なんていう甘い言葉から、サブリースを決断する大家さんも多いですが、サブリースなんて美味しいところを全部持って行かれている
サブリースなんてするなら、アパート経営、賃貸経営なんてやらないほうが良いと思います。
きちんとした管理体制があれば、サブリースなんて必要ありません。
NHK、よく取り上げてくれたな!と関心しています。
個人的に安易なサブリースはとても危険だと思っていました。
ちょっと不動産や建築に詳しい人なら、絶対に手を出しません。
今回NHKで取り上げられるほど、悲しい思いをしている人が多くなってきたのだと思います。
悲しむ人が少しでも減るように!
今回は、悪徳商法とも考えれれる「サブリース商法」について考えていきたいと思います。
目次
1. サブリースとは
ファブリーズ??、サブリースって何?という人も多いと思うので、サブリースの説明からしていきたいと思います。 サブリース
サブリース(sublease)とは、又貸し、転貸のことである。特に不動産賃貸においては、転貸を目的とした一括借上(いっかつかりあげ)のことを、サブリースと言うことが多い。(wikipediaより)
図にするとこのような仕組みです。
サブリース会社が物件を一括で借り上げ、入居者が決まってなく空室でも一定のリース料を大家さんへ支払います。
リスクはサブリース会社が負担する、という図式になっています。
でも実際のところは...。
2. サブリースは業者側が儲かる仕組み
サブリース契約は、業者側が儲かるような仕組みになっていることがほとんどです。
「賃貸契約は大変だし、空室のリスクも取りたくない。 それは保証してくれるサブリース契約ってすごく良いんじゃないか?」
こう思っている人が多いと思いますが、全く良くありません。
見えにくくなっていますが、リスクは全て大家さん側にあります。
サブリース契約をしても、リスクは回避されていないんです。
サブリースの多くは「アパート建築」+「サブリース契約」という場合がほとんどです。
「アパート建築」の建設費に空室リスクの費用が上乗せされている場合も多いです。
サブリース会社はまず建設の部分でほとんどの利益を出します。
家賃保証についても、実際にはきちんと保証はしてくれません。
(家賃保証については、次の項で)
建設費用についてあまり詳しくない人は、必ず適切な建設費用なのか考えてみましょう。
「相場がわからない人は必ず相見積をとりましょう!」なんていうアドバイスも適切ではないように思えます。
建築費の相場もわからないなら、下手に不動産投資に踏み込まないほうが良いと思います。
3. 家賃保証に騙されないで!
「家賃保証で空室のリスク、月々の支払いの心配は要りません!」という広告を見かけますが、騙せれてはいけません。
30年間の家賃保証なんて、できるわけないです!
これを「できる!」なんて言うのはほとんど詐欺だと思います。
家賃保証については、当初の設定賃料がずっとは続きません。
契約条項を見てもらえばわかりますが、必ず「賃料の見直し」という項目があります。
小さい文字で、「2年毎に見直しがあります」などと書いてあります。
また建設業者が出すプランは賃料の値下がり、今後の人口減少などは入っていません。
今後どんどん人口が減っていく中、賃料相場は確実に下がっていくと予想されています。
それから、募集開始の数ヶ月は保証免責(保証しない)というズルい条項を設けていたりします。
家賃保証については、契約内容を良く見てみましょう。
家賃保証なんて言える内容では無いことがわかると思います。
4. 空室率を考えてみましょう!
4-1. 空き家は既に多いし、今後増加していきます
番組でも取り上げられていましたが、今現在の空室率は5部屋に1部屋が空き部屋です。
総住宅数は,6063万戸と5.3%の上昇
空き家率は,13.5%と過去最高に
- 総住宅数は6063万戸と,5年前に比べ,305万戸(5.3%)増加
- 空き家数は820万戸と,5年前に比べ,63万戸(8.3%)増加
空き家率(総住宅数に占める割合)は,13.5%と0.4ポイント上昇し,過去最高 - 別荘等の二次的住宅数は41万戸。二次的住宅を除く空き家率は12.8%
総務省統計局が発表している資料です。
出典元 平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/10_1.htm
4-2. 人口の減少
またこれからは人口がどんどん減少していく時代になります。
空室のリスクは今よりもずっと高くなっていくことが簡単に予想できます。
どのくらい人口が減っていくかという予測がこちらになります。
実感がわかない人もいると思うので、ここでデータを2つほど紹介したいと思います。
人口減少でgoogle検索でトップに出てきたものです。
国土交通省が発表しているものです。(出典元 国土交通省 「人口減少下の人口分布の現状と展望について」 平成15年7月)
http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/kaikaku/jiritu/1/shiryo6-2.pdf
総人口の長期的推移をみると、19世紀後半から急増期へと転じ、その後約1世紀半の間に4倍程度まで増加し、現在に至っている。今後は 今世紀初頭に減少期に転じ、今世紀末には20世紀前半の規模となることが予想される。
約10年前の試算になります。
続いて最近のデータです。
出典元が異なりますが、総務省統計局からのデータです。
人口推計(平成26年(2014年)11月確定値,平成27年4月概算値) (2015年4月20日公表)
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.htm
ポイントとして以下のようなことが記載されています。
【平成27年4月1日現在(概算値)】
<総人口> 1億2691万人で,前年同月に比べ減少 ▲22万人 (▲0.18%)
【平成26年11月1日現在(確定値)】
<総人口> 1億2708万2千人で,前年同月に比べ減少 ▲21万2千人 (▲0.17%)
・0~14歳人口は 1622万5千人で,前年同月に比べ減少 ▲15万4千人 (▲0.94%)
・15~64歳人口は 7776万5千人で,前年同月に比べ減少 ▲116万3千人 (▲1.47%)
・65歳以上人口は 3309万3千人で,前年同月に比べ増加 110万5千人 ( 3.45%)
<日本人人口> 1億2541万人で,前年同月に比べ減少 ▲27万3千人 (▲0.22%)
確実に人口減少が始まってきています。
5. リフォームでもカモにされます!
サブリース契約の場合、ちょっとしたリフォーム、修繕などに関しても、大家さんで行うことが出来ません。
ここにもカラクリがあって、通常のリフォーム費用に「余計な費用を乗せられて」請求されます。
ここでも少しづつサブリース会社に吸い取られていきます。
弊社と付き合いのある地主さんが1棟だけサブリース会社で建てた新築アパートがありますが、この部分について認識してなかったらしくかなりご立腹でした。
契約書には書いてある事項ではあるのですが、実際に認識している人は少ないです。
「聞いてない!」と、トラブルになることも多いようです。
6. 収益計算は人に頼らず、自分で考えましょう!
アパート建設業者の収益計算は賃料が相場よりも高く見積もられている場合がほとんどです。
新築のスタート時は、そのくらいの賃料を回収できることもありますが、ずっとは続きません。
時々、投資家の方よりアパート購入の相談を受けますが、この時にはきちんと「賃料相場の調査報告書」を出しています。
大抵のケースは、「相場から少し外れた賃料設定」で利回り計算をしています。
アパート建設業者は売るのが仕事ですから、高めに見積ものは当然です。
高めに見積もっても違反にならない、という部分もあります。
これは大家さんが一般消費者として見られないからです。
大家さんは「賃貸経営者」です。 いち業者として、見られるのです。
商売として「アパート経営」をしていくのですから、賃料相場などに関してもそれなりの知識があるものが前提です。
といっても一般的な大家さんは「アパート経営」に必要な知識を持ち合わせている人はいません。
ここを巧みに利用してアパート建設業者は営業をかけていくのです。
弊社が関わっている大家さん(かなりのベテラン大家さんです)の多くは、自分自身で収益計算をしてアパート経営を行っています。
不動産屋任せにはしていません。ここが生き残った大家さんと、そうでない大家さんの違いです。
「景気が良い時はどんどんアパートが建ったけど、調子に乗った人はみんなアパート取られていったよ」
高田馬場で50年ほどアパート経営をしているベテラン大家さんの言葉です。
そう、そんなに甘いものじゃないんです。
後で後悔しないように。
自分でしっかり、そして第三者の意見なども聞いて、じっくり考えましょう。
7. 国の政策、相続税にも問題はある
番組で解説の人も言っていましたが、「先進国で住宅の総量規制を行っていないのは、日本くらいなものだ...」というところ。
住宅がどんどん建ってしまう背景としては、国の「持ち家政策」(税制優遇など)があると思います。
少し話はそれますが、家についての考え方で面白い記事ブログを紹介します。
Chikirinの日記「10年以上のローンはだめです」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20091016
ライフネット生命保険会長兼CEO 出口治明
「日本の世帯構造は一人暮らしが主流 ?公共住宅はすべてコレクティブハウスに?」
http://blog.livedoor.jp/deguchiharuaki/archives/40125754.html
家が建つということは大きなお金が動きます。
景気を良くするためにどんどん家を作る時代ではなくなってきているのではないのかなと思います。
相続税対策としてアパートを建てるというケースも増えてきています。
お金を不動産に変えることで不動産評価額での相続税計算となり、課税対象額が減らせることが大きな要因です。
ただこれについてもしっかりしたプランでいかないと結局は損をすることになります。
「相続税対策で!」とグイグイくる営業マンなどには注意が必要です。
弁護士 安藤先生の見解
サブリースの被害似合ったら考えるべきこと(暮らしっく不動産)
さいごに
「サブリース=悪」みたいな記事になってしまいましたが、ほとんどサブリース契約は「悪」といっても過言ではないと思います。
サブリース詐欺については、大家さんが一般消費者としてみられないことから、現状では「騙される方が悪い」という形になっています。
「聞いてなかった」「知らなかった」で簡単に済むような話ではありません。 動く金額も大きいです。
悪徳サブリース商法には充分注意をしましょう!