友人とよく話題になるのが「不動産屋・不動産業界のイメージの悪さ」。
不動産屋と言うと「うさん臭い」「嘘ばっかり」「怪しい」など、とことんイメージが悪いです。
そういうこともあり、いろいろな相談を受けることになる機会が多いです。

部屋を探してる人、これから契約する人、マンションを買おうとしてる人、マンションを売ろうとしてる人、アパートを貸す人、投資物件を探してる人など。
不動産にまつわることでいろいろな相談を受けます。

今回は不動産屋選び方と題して書いていきたいと思います。

目次

1.賃貸の物件を探す人

「マンションは管理を買え!」
これは不動産売買での言葉ですが、賃貸の場合でも同じことが言えます。
賃貸でも管理は重要です。


賃貸物件は、そのほとんどが中古です。 
管理と運営が、その住みやすさを決めると言っても過言ではありません。

多くの人が間取りや設備「バストイレ別」「オートロック」「独立洗面台」といった設備、「駅からの距離」「築年数」「敷金礼金なし」などの条件面で物件を探す人が多いです。
設備や条件も大切ですが、それ以上に注文しておきたいところが管理。

賃貸の管理の大切さはここ数年で大きく注目されています。
2021年6月には管理業法が施行されました。

賃貸住宅管理業法ポータルサイト(国交省)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/

安心したいい物件を探したい人は、管理会社から探してみるという方法もおすすめしたいです。

公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会 会員名簿
https://www.jpm.jp/branch/sp_list.php

 

1. 物件数No.1?

「物件数No.1」「地域一番の物件数!お任せ下さい!!」
こんな看板、一度は見たことがあると思います。

まずここについて書いていきたいと思います。 

不動産屋の物件情報は業者用のネットワークというもので、共有されています。
別の不動産屋が持っている物件でも紹介は可能です。
自分の持ち物件だけで営業している不動産屋はありません。

例えば弊社のある、高田馬場エリア。
住所で新宿区高田馬場1丁目から4丁目まででと区切って、現在の空室は500件以上あります。
この500件のうち、物件を一番多く持っている老舗の業者でも100件ほどです。
一般的な物件保持件数は、1つの不動産屋で数十件というのが現状です。

老舗の不動産屋さん「物件数No.1」という看板は掲げていません。
物件数No.1」の不動産屋なんて存在しないからです。
老舗の落ち着いた不動産屋さんは「No.1宣言」はしません。
これは釜飯屋さんの「元祖」みたいな争いに似ていると思っています。

物件数No.1って本当なの?(暮らしっく不動産)
https://www.kurachic.jp/column/1173/

2. 仲介手数料無料・半額の不動産屋ってどうなの?

不動産屋の収益の一つが仲介手数料になります。

大手不動産の投資家向けの資料などをみても、手数料収入は期待される数値として記載されています。

スクリーンショット 2022-01-25 13.03.34.png

※参考資料 三井不動産 投資家説明資料 2021年5月 より
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/ir/presentation/pdf/investorpresentation2105j.pdf

しっかり手数料をいただき、しっかり期待に応える。 これが不動産仲介の王道です。
特に売買なんかは、調整が難しい案件などもあります。
ただで仕事をするなんてことはありませんから、普通の不動産の仕事であれば仲介手数料が発生するのが普通です。


しかし最近、仲介手数料を半額、無料にしている不動産屋がいくつかあります。
「これって大丈夫なの?」とよく聞かれます。

仲介手数料無料・半額に出来る理由は、売主や貸主(大家さんなど)側から出る「手数料」がカラクリです。

物件によって、このエンドユーザー以外から、なんらかの手数料がついている物件があります。
売買では、新築戸建て、賃貸では人気の無い物件などに付けられることが多いです。
仲介手数料無料・半額の場合は、それだけ仲介手数料を値引きしても「広告料」でカバーするような仕組みになっています。

割引している訳ではありません。
「仲介手数料無料!」「仲介手数料は半額!」などの宣言している不動産屋では、この手数料が付いた物件しか出てきません。
これは選択の幅を狭めてしまうことになります。

初期費用は安くなりますが、そんなにいい物件ではなかったりします。
売買の場合、その新築よりももっといい選択肢の中古があったよね、とか、
賃貸の場合は、もっといい部屋あったじゃんなど。

物件探しは、幅広い中から自分に合うものを選ぶ、これが基本だと思っています。
その結果「手数料付き」の物件が良ければそれを選択する、というのが一番良い選び方だと思っています。

初期費用が安い場合は、あまり良いこともないですから、仲介手数料の安さを理由に物件を選ぶこともないのではないかと思います。

ちなみに、不動産業者が自ら物件を買う場合、基本的には仲介手数料を満額で支払います。
いい物件は満額。 これは不動産業界の基本です。

仲介手数料無料や仲介手数料半額で詳しく知りたい方はこちらの記事を。
仲介手数料無料でもやっていける不動産屋の仕組み(暮らしっく不動産)

3. 駅前すぎる不動産屋はどうなの?

「駅前の不動産屋ってどうなの?」という質問をよく受けます。

全てがそうではありませんが、駅前すぎる業者は店舗の家賃も高く、ノルマ設定が高いことが多いです。
ノルマ設定があると、お客さんにあった部屋探しを丁寧に行うには精神的余裕がないと思います。
「すぐ決めたがる傾向」があり。じっくり時間をかけて選べません。

ノルマ設定が高い不動産屋だと「広告料」が乗った物件から優先に進められてしまいます。

幅広く、自分の選びたい部屋を自分で選ぶという観点から言うを、避けるべき不動産屋です。

3-1. 水商売、消費者金融と同じビルに入っている不動産屋は要注意

〇〇ビル
怪しいマッサージ店
ガールズバー
消費者金融
不動産屋
飲食店

駅前でも自社ビルだったりする不動産業者はしっかりした不動産業者です。

あまりおすすめできないパターンとして、水商売(キャバクラ、ガールズバー)や消費者金融(学生ローン)と同じビルに入っている不動産業者。
不動産屋選びに迷ったら、そのビルに入っている店舗を見てみるとよいと思います。


同じ物件がいろいろところから出てるな。と迷った場合はこちらの記事を参考に。
ネットや複数の不動産屋で同じ物件が出てくる仕組み(暮らしっく不動産)

4. ギラギラした広告のお店は避ける

物件を選ぶのは自分です。
しかし現状では、不動産屋が情報操作ケースも多く、本来見れる物件まで辿りつけないことがあります。
「安い!」「なんでもあります!!」なんてギラギラの広告をしているところは、不当な情報操作をする傾向が多いです。

「条件が悪いはずじゃないのに、思ったより情報が少ない」「この担当者はどうもうそ臭い」と思ったら迷わず席を立ちましょう。
誠実に対応してくれる不動産屋、担当者は必ずいます。
ギラギラした広告、キャッチコピーを出しているところは避けるた方が良いと思います。

雑居ビルで消費者金融、風俗店、ガールズバー、怪しいマッサージ店などのお店と一緒に入っている不動産屋は要注意です。

不動産広告のキャッチコピーにはルールがあります。(暮らしっく不動産)
https://www.kurachic.jp/column/1034/

5. ネットで情報探すなら、どのサイト?

いろいろな力関係があり、言いたいことが言いにくい世の中です(笑)
いろいろ不動産がサイトがありますが、どこがいいのか。

ズバリは言えないのですが、数字でみていきましょう。

不動産屋が使っているサイト

東京都内で不動産屋さんが広告に出すサイト、不動産ポータルサイトの加盟状況を調べてみました。(独自)

東京都内 不動産ポータルサイト 加盟店状況

不動産ポータルサイト大手3社

加盟店数

加盟割合

アットホーム

13344

53%

スーモ

4050

16%

ホームズ

3777

15%

※2022年1月25日 暮らしっく不動産調べ 各社ポータルサイトの「不動産会社から探す」からの独自集計


東京都内の不動産業者の数は、25,151。
(公益財団法人 不動産流通推進センター 「2021 不動産業統計集」 都道府県別宅地建物取引業者数からの数字)

23区内 不動産ポータルサイト 加盟店状況

不動産ポータルサイト大手3社

加盟店数

アットホーム

11344

スーモ

3232

ホームズ

3045

※2022年1月22日 暮らしっく不動産調べ 各社ポータルサイトの「不動産会社から探す」からの独自集計

一般の人が物件探しで使うサイト、大手3つの比較です。
よく「物件数が多い!」などの広告が目立ちますが、不動産の物件情報は重複していることも多く、実際の情報量の多さとして「物件数」は目安になりません。

これをみて、どれを使ったほうがいいか、参考にしていただけばと思います。

賃貸のポータルサイトを比べてみた記事もありますので、気になる方はご覧ください。
物件探しはどのサイトがいい?賃貸サイトのアクセス数を比べてみた(暮らしっく不動産)

6. 路上看板で見分ける


路上看板で、「ルールをどのくらい守るか」判断が出来ます。
歩道、公道はに看板を置くのは基本的にNG。 法律、条例に違反にあたります。

不動産屋は「土地」に関しては詳しいはず。
これが守らられていないということは、不動産の知識が乏しいということも考えられます。

不動産屋の簡単な見分け方。路上看板とコンプライアンス(暮らしっく不動産)
https://www.kurachic.jp/column/1111/

7. 不動産屋って信用できない?

不動産屋のイメージというと「うさん臭い」「怪しい」「騙されそう」「怖い」などネガティブなイメージが多いと思います。
直感というのは大事で、比較的正しいイメージだと思います。
悪い不動産屋ばかりではないですが、まだまだ悪い不動産屋はいるというのが、個人的な印象。

ちなみに世界から見た日本の不動産業界の信頼度、これどのくらいかと思いますか?

出典  日経不動産マーケット情報 web2012年10月11日の記事
    ジョーンズラングラサールインベストメントメネジメント 2012年8月発表のグローバル不動産透明度インデックスより

ジョーンズラングラサールインベストメントメネジメントという会社が各国の不動産業界の信用性を調べたデータがあります。
これによると、まさかの25位。
先進国の中ではダントツの最下位です。

情報公開度が低かったり、正しいデータが取りにくかったり、おとり物件があったり、両手仲介があったり、情報の囲い込みがあったりと。
信用性はかなり低いとランク付けされています。

皆さんのイメージは正しいとも言えると思います。

南アフリカと日本、どっちの不動産屋が信頼できる?(暮らしっく不動産)
https://www.kurachic.jp/column/564/

8. 宅建免許を持ったスタッフがそのお店にいるか

名刺をもらったらまず宅建の有無を確認しましょう。

宅建免許(宅地建物取引士)がそのお店に実際にいるのか、これも一つ見極めるポイントです。

賃貸の場合、あまり評判のよくない不動産会社だと、スタッフはほとんど宅建持っておらず、そして専任の取引士という法で決められてる責任者も全然違う店舗ということが多くあります。
(契約書類をみて、あれ?と思うこと多々あります)

売買の場合、宅建の免許はほぼ全ての営業マンが保持しています。 
普通の不動産取引をするケース(戸建て、マンションを買ったり、売ったりするケース)で、良い担当か見極めるポイントとしては、その他の資格保持です。
FP(ファイナンシャルプランナー)の2級以上など、宅建以外の資格があるか、Webのスタッフ紹介や名刺などで確認しましょう。

まとめ  リテラシーが低い不動産屋が多過ぎる

不動産屋ってあんまり良い印象がない人が多いと思います。
冒頭で書いた通り、友人にもいろいろな相談を受けます。
さらには同じ業界ということで手厳しい駄目だし(うちが悪いんじゃないのですが)を頂くこともあります。

「不動産屋の常識は、世間の非常識」

という厳しい言葉をもらったこともあります。


嘘の情報で人の時間を無駄にしたり、分からないからといって裏でコソコソやったり。
リテラシーの低い不動産屋はいまだに多いです。
「礼金を上乗せしたいんすけど、いいっすか?」なんて不動産屋もときどきいます。
お客さんに見えないようにやれば、こんな詐欺行為が出来てしまう仕事です。

見えにくい仕事だからこそ、誠実に行っていかなければならないと思っています。いろいろな不動産屋があります。
損をしないように、少しでも役に立てばと思います。