こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
国土交通省のサイトを見ていると、平成28年7月以降の1年間の地価についての記述が発表されていました。
平成28年7月以降の1年間の地価について
全国平均では、全用途平均は下落しているものの下落幅の縮小傾向が継続している。用途別では、住宅地は下落しているものの下落幅の縮小傾向が継続している。商業地は昨年の横ばいから上昇に転じた。工業地は昨年の下落から横ばいに転じた。
三大都市圏をみると、住宅地は東京圏・名古屋圏でほぼ前年並みの小幅な上昇を継続している。商業地は総じて上昇基調を強めている。工業地は名古屋圏を除き上昇基調を強めている。
地方圏をみると、地方四市では全ての用途で三大都市圏を上回る上昇を示している。地方圏のその他の地域においては全ての用途で下落幅が縮小している。
出典:国土交通省 平成29年地価調査結果の概要より
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/00.html
一見、アパートを借りたい人にとっては何の関係もなさそうに思えるこの記述ですが、実は関係が多いにあります。
地価が上がる=家賃が上昇する可能性があるということ
地価が上がるということは長期的に見た時に家賃が上昇する可能性があることを意味します。
例えば同じスペックの家を土地から買って建築する場合、八王子市と千代田区で比較すると、建物の価格は八王子市でも千代田区でも同じですが、土地の値段は異なります。
結果的に総額の金額が変わってくるので、その差は家賃に跳ね返ってきます。
地価が上昇するということは土地の値段が上がるということ。
需要のある土地は土地の値段が上昇し、価値の無い土地は土地の値段が下がっていくので結果的に家賃に影響してきます。
全国平均では、全用途平均は下落しているものの下落幅の縮小傾向が継続している。用途別では、住宅地は下落しているものの下落幅の縮小傾向が継続している。商業地は昨年の横ばいから上昇に転じた。工業地は昨年の下落から横ばいに転じた。
出典データ:国土交通省 平成29年都道府県地価調査
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/00.html
まずはこの部分。
全国的に見れば、全体としては下がっているとのこと。
人口が減少に転じたことに起因すると思われる部分ですね。アパートを借りる方からすれば土地の値段が下がるということはその土地に安く住めることを意味しますから、短期的にみればありがたそうなお話。
しかも住宅地は下がっているとのこと。
三大都市圏をみると、住宅地は東京圏・名古屋圏でほぼ前年並みの小幅な上昇を継続している。商業地は総じて上昇基調を強めている。
出典データ:国土交通省 平成29年都道府県地価調査
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/00.html
全国的に見れば下がっている土地の値段ですが、東京・名古屋に限っていえば小幅ではあるが上昇しているとのこと。人が集まってくるところの値段は上昇していることを意味します。
人が集まる=需要がある=価値が上昇する
という式ですね。
東京圏はどの程度の上昇具合なのか?
住宅地
東京圏の平均変動率は4年連続して小幅な上昇となった。なお、半年ごとの地価動向(地価公示との共通地点で集計。)としては、前半(H28.7~H29.1)が0.5%の上昇、後半(H29.1~H29.7)が0.6%の上昇となった。
出典データ:国土交通省 平成29年都道府県地価調査
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/00.html
全国的に見れば下落している世の中で東京の住宅地は4年連続で上昇とのこと。
商業地
再開発等の進展による繁華性の向上や外国人観光客を始めとする国内外からの来街者の増加等を背景に、主要都市の中心部などでは、店舗、ホテル等の進出意欲が依然として強い。オフィスについても、空室率は概ね低下傾向が続き、一部地域では賃料の改善も見られる。このような商業地としての収益性の高まりに加え、金融緩和による良好な資金調達環境もあいまって、法人投資家等による不動産投資意欲が旺盛であることから、商業地の地価は昨年の横ばいから上昇に転じた。
圏域別にみると、
東京圏の平均変動率は5年連続の上昇となり、上昇幅も昨年より拡大している。なお、半年ごとの地価動向としては、前半が2.0%の上昇、後半が2.1%の上昇となった。
出典データ:国土交通省 平成29年都道府県地価調査
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/00.html
用途別で考えると、商業地というのは駅まわりや大通り沿いに多いですね。
商業地も東京は5年連続で上昇しているとのこと。
東京の区市別の上昇・下落率
国土交通省のサイトに平成28年度と平成29年度の住宅地と商業地の変動率の記載がありましたので、東京の部分だけ抜き出してみました。
出典データ:国土交通省 平成29年都道府県地価調査
第5表 東京圏の東京都特別区及び人口10万以上の市の対前年平均変動率
上記を元に暮らしっく不動産独自で編集したもの
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/06.html
一部下落している市もありますが、大多数の区や市で上昇しています。
千代田区の住宅地は平成28年に10%、平成29年に5%の上昇率です。
このように数字としてみてみると、アクセスが良くて、住環境が良いと一般的に思われている駅がある区は軒並み上昇傾向です。実際、部屋探しのお問い合わせで最初にリクエストを多くいただくエリアが入っています。
東京の区・市別の住宅地の価格
上昇率をみたところで1m²あたりの土地の住宅地の価格がいくらぐらいするのか見てみます。
参考にしたのは同じく国土交通省のデータ
"第6表 東京圏の東京都特別区及び人口10万以上の市における住宅地の平均価格"
出典:国土交通省 平成29年都道府県地価調査
"第6表 東京圏の東京都特別区及び人口10万以上の市における住宅地の平均価格"
上記を元に暮らしっく不動産独自で編集したもの
http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2017/07.html
これも同じくですが、住みたい区と住める区には大きな差があるように感じさせるデータのような気がします。
やはり、千代田区や中央区は高いですね。アクセスの良い駅は多いですが、それなりのお値段がするということを意味しています。
- 千代田区 278万円
- 中央区 約100万円
- 港区 約140万円
- 渋谷区 約100万円
- 文京区 約80万円
土地にお金をかけるのか、家にお金をかけるのか?
家探しをしたことがある人なら経験があるかもしれませんが、住みたい駅だと築年数の古い物件や狭い家しかなかったのに、通勤時間を伸ばして郊外に行くと同一の予算でもスペックの高い家が出て来る。
といった経験をしたことがある人は沢山いるのではないでしょうか。
前述のデータを見てもわかるように、需要のある土地は土地の値段が高い傾向にあります。
例えば、千代田区、中央区、港区でよくお問い合わせをいただく駅を下記にあげてみます。
- 千代田区=九段下駅、一部の飯田橋駅、神保町駅、秋葉原駅
- 中央区=水天宮駅、人形町駅、浜町駅、勝どき駅、月島駅
- 港区=麻布十番駅、白金高輪駅、泉岳寺駅、表参道駅
見事に1m²あたりの単価が高い区に属している駅です。
限られた予算で家を見つける歳には場所代にお金を払うのか、それとも家代(設備や広さや築年数など)にお金を払うのかという軸を考えるとよいでしょう。