こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
賃貸のお問い合わせが来るとお客さんの条件に合わせて募集中の図面を送ります。
来店であれメールベースであれ間取り図が送られて来た時に皆さんどの部分を見ていますか?
賃料、間取り、設備etc人によってマチマチだと思いますが今日は図面の見方について解説します。
1.見ている部分はどこ?
業者用ネットワークや不動産会社によっても異なりますが、不動産屋で渡される図面はこういう感じのものが多いですね。のっている情報としては下記のようなもの。
- 間取り
- 賃料
- 広さ
- 設備
- 築年
- 初期費用にかかってくるもの
この募集図面、不動産屋では"マイソク"とか"インフォシート"なんて呼んだりしています。
賃貸に慣れていない人の場合、どこの部分を見ているのかなぁと気にしていたのですが、慣れていない人の視界ではこのように見ているようです。
先ほどの図面に赤線を入れてみました。
慣れていない方の多くはこの赤線の部分のみを見ているように思えます。
- 賃料
- 間取り
- 室内写真
- 築年
- 駅からの距離
条件は人によって様々ですが、多くの方が、"少しでも賃料が安く"、"なるべく希望の設備が入った"、"綺麗な部屋"を希望しているのではないでしょうか。そういうことを考えると、先ほどの図面でいうところの赤線や赤丸の部分しか見ていないというのは当然の結果かもしれません。
その状態でこの物件が出たらどうでしょうか。
先ほどの視点で図面を見てみると下記のような形でしょうか。
最初の物件をAとするとA物件よりも
- 駅からの距離は近く
- 賃料も安く
- 独立洗面台がついていて
- 角部屋
- 築年数も新しい
という事がわかります。慣れていない人や少しでも安い物件に住みたい人からすればB物件のほうがお得だ!となるわけですが、本当にそうなのでしょうか?
※ここではMAXで月々7.3万円(管理費込み)以内の予算で探していると想定しています。
2.見るべき部分は小さな字の部分
物件を比較する際にみる間取り図ですが、見るべき部分は賃料や間取り図だけではありません。
大事なのはむしろ細かい小さな字の部分です。その部分を抜き出してみます。
まずはA物件。
こちらはB物件。
A物件には未記載の部分もありましたが、調べてみると色々なことがわかったので比較してみました。
3."みなし賃料"という概念
賃貸の金額を考える時に使う考え方の一つに"みなし賃料"、"目安賃料"という概念があります。
これは契約期間の間に払ったお金を契約期間で割ったお金です。
例えばA物件だと下記のようになります。
契約期間24ヶ月で払うお金(A物件)
- 賃料:168万円(7万円24ヶ月)
- 管理費:72,000円(3千円24ヶ月)
- 保証会社:36,500円(賃料と管理費合計の50%)
- 鍵交換費用:20,000円
- 火災保険:13,000円
- クリーニング費用:32,000円
- 敷金:70,000円
- 礼金:70,000円
- 仲介手数料:75,600円(家賃1ヶ月分+消費税)
TOTAL=2,069,100円
ひと月あたり=86,212円
契約期間24ヶ月で払うお金(B物件)
- 賃料:156万円(6.5万円24ヶ月)
- 管理費:72,000円(3千円24ヶ月)
- 保証会社:73,000円(賃料と管理費合計の100%)
- 鍵交換費用:32,000円
- 火災保険:20,000円
- クリーニング費用:46,000円
- 新生活応援セット:15,800円
- 敷金:70,000円
- 礼金:70,000円
- 仲介手数料:70,200円(家賃1ヶ月分+消費税)
- 解約予告が2ヶ月前に出せなかった場合:A物件と比べると+68,000円
TOTAL=2,097,000円
ひと月あたり=87,375円
家賃ベースで考えればB物件のほうが安いのですが、24ヶ月という契約期間で考えるとB物件のほうがひと月あたり1,163円高くなりました。このように入居から退去までにかかる費用を算出し契約期間で割った賃料を"みなし賃料"と呼んでいます。B物件はお得なように見えて、実はお得ではないというのがポイントです。
きちんとA物件よりも良い要素がある分、しっかりとお金を回収しているのです。
逆にいえば、大家さんや管理会社は市場調査をそれぐらいきちんと行って値付けをしているということです。
違うのは見せ方の問題というところでしょうか。
4.自分にとっての良物件とは?
A物件とB物件を比較した時に感じる反応はみなさん様々です。
- B物件の見せ方がなんかずるい!せこい!
- 必要経費と考えればB物件で独立洗面台が手に入るのならB物件のほうがいいじゃん!
お客さんと話をしているとだいたいこの二つの反応に分かれます。
ですが、ただでさえ細かくて複雑な賃貸の明細。トラブルの温床になっているのも事実です。
入居者応援セット?なにそれ?(簡易消火器代や抗菌消毒サービスなどが多いです)
このサービスはずせないの?
なんて声も聞かれますが、B物件のような場合、いわゆる"調整金"が入ってはじめて相場に見合った価格になるように料金システムができあがっているので都心部の場合だとはずすことができないことが多いというのが実情です。皆様から支持率の高いRC(鉄筋コンクリート)で内装綺麗め、駅近、高層階、オートロック、宅配BOX有りな物件ほどこの傾向が強いように感じています。
あなたにとっての良物件、今一度考えてみてはいかがでしょうか。