こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
賃貸のお問い合わせ時によくあるリクエストの一つです。
"音に対して敏感なのでRC(鉄筋コンクリート)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)の建物を希望します。"
人口密度の高いエリアの集合住宅に住む場合少なからず音のトラブルはよく聞く話です。
リクエスト時に遮音性や防音性を気にされる方は過去に嫌な思いをした方が多いと思われます。
騒音の問題で考えられる要因
騒音の問題で考えられる要因は様々ですが、大きく分類分けをした場合下記の2要因が考えられます。
- 建物の品質の問題(物的要素)
- 同居建物の入居人のクオリティの問題(人的要素)
"物的要素"と"人的要素"に分けてみました。
まず大前提として考えておきたいのが特に東京23区においては人口密度が非常に高いということです。
年代も働き方も違う多種多様な人々が1km²あたり4,000人も住んでいるのが多くの東京区部エリアということが大前提にあります。
人口密度については下記記事をご参照ください。
東京都は人口密度が高い街 国土地理院の地図より
https://www.kurachic.jp/column/1738/
1.建物の品質の問題(物的要素)
まずは物的要素から考えてみたいと思います。
建物にかぎらず、どのような業種やモノに対してもピンからキリまであるというのは考えずともおわかりいただけると思います。食べ物でいえば400円で食べられる"ざる蕎麦"から1,500円もするものもありますね。
これは建物でも同じです。同じ構造体でもピンからキリまであるのです。
これはとあるRC(鉄筋コンクリート)のマンションの工事中の写真。
床面、壁面ともに構造体となっており、隣の家との境界は厚い壁で覆われています。
分譲系のマンションなのですが、エリア相場から考えると1.5倍から2倍のお値段のお部屋です。
なのでこれはいわゆる皆さんが求めているRCやSRC系の建物ということができます。
建築費の安いRCやSRCの建物の場合、隣家との壁はRCでないことが多いです。(RCなのは外壁と床)
ちょうどいい写真がなかったのですが、このような金物のフレームに断熱材をサンドして石膏ボードを貼り付けたものが隣の家との壁ということも珍しくありません。もちろんこれでもRC構造ということになります。
1-1.建築基準法的には問題がない
隣の家の音が聞こえるほど薄い壁なのか。それは建築基準法違反なんじゃないか?普通の平穏な生活ができないじゃないか?という解釈をする人もいますがそれは大きな間違いです。
建築基準法(けんちくきじゅんほう、昭和25年5月24日法律第201号)は、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた、日本の法律である。
出典:wikipedia 建築基準法
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95
大きく考えると建築基準法は"最低基準"を定めているだけなのです。快適な生活をするための法律ではないというのがポイント。
建築基準法を見てみましょう。
建築基準法 第30条 (長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
出典:wikibooks
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95%E7%AC%AC30%E6%9D%A1
- 衛生上支障がないように低減
- 界壁は、小屋裏又は天井裏に達するもの
- 技術的基準に適合するもの
- 国土交通大臣が定めた構造方法を用いる又は国土交通大臣の認定を受けたもの
第30条を読むかぎりは上の4つのキーワードができていればOKなようです。
聞こえなくするのではなくあくまでも低減されていればOKなのです。(人によってけっこう個人差あると思います。)
技術的基準に関してはもう少し詳しい記述があります。
建築基準法施工令 第22条の3
法第三十条 (法第八十七条第三項 において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次の表の上欄に掲げる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄に掲げる数値以上であることとする。
振動数(hz) | 透過損出(db) |
125hz | 25db |
500hz | 40db |
2,000hz | 50db |
これはどういうことか言いますと、壁を通した時に上記の3つのヘルツの値がそれぞれ出された音に対して25db、40db、50db低減されていればいいですよという意味です。
ヘルツは数字が低いほど低音、数字が高いほど高音なのですが、高音に厳しく低音に甘いというのもポイントです。人によって解釈も色々あるので一言で言えないのですが、バンドでいうと80hzから100hzぐらいがバスドラの(中心的な)音で、エレキギターが400hzぐらいなんていったりします。
参考:エレキギターのとある音の周波数
1-2.界壁の構造
さて、工法的にはどのようなものになるのでしょうか。これは建設省告示第1827号に記述があります。
構造や使用素材によっても基準が異なりますが、石膏ボードを使った場合で一番簡易なものの基準としては次のようなものです。
・界壁の厚さ(仕上材料の厚さを含まない)が10cm以上。
・その内部にグラスウールかロックウールを入れる。
・界壁の両面は厚さ12mm以上の石膏ボードを2枚以上張る。
石膏ボード仕上げの場合、148mm以上、つまり14.8cm以上あれば一応は界壁として認められるということです。
ちなみにですがiPhone 7の高さは138.3mmです。
このようなフレームにロックウールを入れて、石膏ボードを両面に2枚ずつ貼れば隣の家との壁として認めますという意味です。
音の難しいところは界壁だけではなく、換気扇のダクトや、窓などの開口部からも回り込んでくるので厳密に聴覚上の聞こえ方としては一方向の見方だけでははかれませんが、隣の家との界壁という部分に特化して考えればこのような法律が決められています。
家賃というのは"土地の値段+建物の建築費"で決まるので、当然家賃相場よりも高い家であれば壁の厚みや施工も頑丈になっていきます。物的要素から考えた場合、家賃相場と同等、もしくはそれ以上の価格帯の家に住むと問題が解決される可能性が高くなります。
1-3.工事費用の目安
出典:国土交通省 住宅統計
2016年度(新築住宅)利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費)/戸数、床面積、工事費予定額、1戸あたり工事費予定額、1平米あたり工事費予定額より
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001179883&requestSender=search
建築費というのは構造別にどの程度かかるものなのでしょうか。
国土交通省が発表している住宅統計で見てみました。条件は下記のとおりです。
- 2016年度
- 東京都
- 構造別
- 共同住宅
- 1m²あたりの工事費予定額
- 貸家
その結果は以下のようなもの。(1m²あたりの金額を坪に換算しています。)
木造→1坪当たり66万円
鉄骨→1坪あたり85.8万円
RC→1坪あたり99万円
普通に考えるとRC(鉄筋コンクリート)が一番工事費用が高いですが、この平均値を考えた時に仮に高級に作られた鉄骨と安価に作られたRCだとどちらがしっかりしているかということになります。
しっかりした鉄骨→1坪当たり100万円(都内でハウスメーカーだとありえる金額です。)
安価なRC→1坪あたり88万円(あくまでも例です)
これで考えるとしっかりとした鉄骨を選んだほうが建物のクオリティは高さそうですね。
安く抑えるということは何かを犠牲にしないとできることではありません。
職人への人件費なのか、部材のクオリティなのか。。。これはどの業種にもいえることです。
1-4.物的要因の3つのポイント
- 建築基準法はあくまでも最低限の基準である
- 家賃は土地の値段+建物の建築費
- 家賃相場よりも高い家に住むと建物のクオリティが高まっている可能性がある
2.建物の入居人の問題(人的要素)
2-1.入居人の属性
相場よりも安い物件でよく見るのですが、入居者募集において幅広い業種や年齢層を募集している物件はトラブルが起きるリスクがあると考えます。例えば上記の写真の物件、6畳程度の狭い部屋です。
- ルームシェア
- 高齢者
- 子供
- 外国籍
- 福祉等
このような言葉が並びます。
場合によってはフリーター、水商売相談可という文言が入っている場合もあります。
一般的に一壁あると言われる難しめの条件を全部カモンな状態。
相場よりもかなり安い古いアパートなので条件を緩くして募集しています。
子供が悪いとか水商売が悪いということではなく、様々な条件やライフスタイルの人間を構造的にもクオリティの古いアパートに住んでもいいですよという風になっているのです。
誰でもいいから入居してくれればいいやというスタンスの物件というのはトラブルの元と考えます。
物件には単身向け、学生向け、シェアハウス向け、ファミリー層向けといった元々想定した建物があります。そこを安いからという理由だけで入居するとトラブルのもとです。
ちなみにですが、"お隣はどんな人ですか?"という質問もよくいただくのですが、最近は個人情報保護の観点から募集会社も教えてくれないことが多いです。建物の雰囲気、洗濯物、置いてあるものから想像するしかありません。
2-2.厳し目の条件のところは住人の属性も決まっている
家賃相場よりも高めの物件、特に前述の1.5倍や2倍もするような物件は審査や条件が厳し目のところが多いです。
年収、職業、勤続年数、社会的信用、提出される書類の形式等、様々なところで細かなチェックが入りますが、逆の言い方をすれば、社会的にそこまで認められた人でないと入居できないということです。
過去には"年収1000万円以上の親族のみ連帯保証人可能"という縛りがある物件もありましたが、その物件はさすが高級物件。
建物の構造、サービス、入居人のマナーも高くトラブルは少ないようです。
このような観点から考えても相場よりも安い物件に安易に飛びつくのは危険です。
"それなりでしかないということを頭に入れておくのが良いかと思います。
3.対処法と考え方
3-1.家賃相場より安い物件に住まない
これは遮音性や騒音にかぎらずのポイントになりますが、家賃相場よりも安い物件に住まないというのは大きなポイントです。
安くできるなんらかの理由
- 設備や構造が古すぎる
- 問題のある入居者がいる
これらのリスクを排除するところにあります。
3-2.管理会社にクレームを入れるのは効果があまり期待できない
管理会社に一目散に騒音のクレームを入れる人もいますが、管理会社ができることというのは、せいぜい全入居者に"深夜にご配慮を"というお知らせを出すか、現在の入居者にお願いをする程度しかできません。
一言に"うるさい"とは言っても感じ方も人それぞれ。
また深夜を20:00からという認識の人もいれば0:00以降という人もいるので、一概に常識外れだ!ということもできません。
そして多くの場合、騒音を出している人というのは自分たちに騒音を出している認識が無いことも多いですし、クレームをつけていたほうも実は騒音を出しているほうだったということもあります。
自分の常識から外れていたら"騒音"というのは共同住宅ではなかなか解決しがたい問題なのです。
向こうが出ていくのを待つか、もっとしっかりした建物や物件に引っ越したほうが"騒音"という問題点においては解決が早いかもしれません。
ちなみに防音サッシをつけてくれというようなお金がかかるケースは誰がその費用負担をするのか?という問題が出て来ることが多く、仮に設置をできたとしても建物設備グレードが上がるので家賃をどうするのかというような問題が発生することが多いのであまり積極的にとられる対策ではありません。
3-3.人口密度の多いところに住まない
出典:google map
https://www.google.co.jp/maps/@34.8280905,139.396031,131814a,35y,32.97t/data=!3m1!1e3
騒音、遮音のトラブルの元々の根幹を考えて見れば狭いエリア(人口密度の高いエリア)に、ライフスタイルの異なる人達が、一同に住んでいるというところが根幹です。
24時間眠らない街では、深夜に活動をする人も多く、夜だから静かにするといったライフスタイルでない人がいるのも事実です。
金銭的に高い賃貸は借りられない、だけど人よりも騒音に対しては敏感だ。という人は思いきって人口密度の低いところに引っ越しをしてみるのもありかもしれません。