暮らしっく不動産編集部です。
今日のこの時期に多い賃貸トラブルであり不動産の闇「手付金(預り金)返してくれない」事件についてお送りしていきたいと思います。
今回、実際に被害にあったライターの中村さん。
人物紹介:中村 瑠衣(編集ライター)
フリーの編集ライター。暮らしっく不動産の近所に友人が住んでいるだけの他人。
関ジャニ∞のファン。好きな食べものはビールとラーメン。
経歴は割愛。
2017年お正月。
引越しのため、スーモのアプリから内見予約をした。
10分もしないうちに見知らぬ番号から電話がかかってきた。
「正月で店舗が休みであるにも関わらず、客に電話するなんて、なかなかバイタリティ溢れる担当者だな」と思った。
1/4からお店があいているとのことだったので、
では当日また連絡しますね。
というと、担当者は、どうしても来店予約をして欲しそうだった。
仕方なくわたしは事情を説明した。
3日に飲み会があって、二日酔いだったら動けないかもしれないので、今すぐお約束というのは......。
誠実アピールに紛れ込んだ、だらしなさ、楽しい思い出プライス・レス。
担当者は苦笑いしつつ、では当日ご連絡をお待ちしています。と言ってくれた。
正月休み(と飲み会)が終わって、3つの不動産屋から連絡が来た。
が、最初に電話をくれた、わたしの飲み会の予定まで把握している担当者のいる不動産屋へと向かった。
この不動産屋、関ジャニ∞ファンのわたしとして見逃せない名前だった。
関ジャニ∞と少し似た名前。親近感が湧いていた。
仮に名前をXとする。
Xの店内は比較的新しい内装で、男性が3人カウンターに座っていた。
先日の担当者は、ちょっと小太りで、二徹した岡崎体育という感じだった。
正月明けで、少なくとも3日は休んだはずなのに。

ジャニーズ大好きのわたしとしては、正直ガッカリした。ごめん、岡崎体育(本家)。
岡崎は、わたしの希望の物件3件のうち、1件の間取りだけをプリントアウトして、
Aの物件はもう終わっちゃってたんですよ。Bの物件は管理会社がお休みで、今日は内見ができないんです。なので、今日見れるのはCの物件だけです。
と言った。
ショックを受けつつ、せめてCだけでも見に行こうとしたら、岡崎はやたらわたしの初期費用の希望の額を聞いて来た。
初期費用に希望もクソもないと思うので答えなかった。
安ければ安い方がもちろんいいですけど、それよりも長く住みたいので、物件の良し悪しの方が大事です。
と言うわたしに、
僕、中村さんの希望の金額の物件、死ぬ気で探しますんで!
と、必死さをアピールする岡崎。
こんなことで死なないでほしい。
と、そこで岡崎の隣のサンドイッチマン風の男性従業員が、接客中の女性のスマホに、お茶をこぼした......。
凍りつくX店内で、サンドイッチは、
今すぐ拭くもん持ってこい!2秒で持ってこい!
と大声を出していた。
岡崎は6秒後に雑巾を持って行って、汚ねえの持ってくんな!と、怒られていた。
店内は、
オラオラしている。
それから、席に戻ってきた岡崎は、なかなか初期費用の希望の額を言わないわたしに、
他に希望の家がないか探していますが、なかなか難しいですね......
という。
このときすでに来店から50分くらい経過していた。
さらに、サンドイッチとは反対側のジコ坊のような男性が、わたしの希望の地域は
とてつもなく家賃が高いんですよね。
と伝えてきた。
いや、なんだこいつ
わたしは、
へえー、そうなんですね。
と、目をそらしながら口に出すことしかできなかった。
というか、それ以外の回答がこの世にはない。
わたしはここ1年半、毎日のように物件を眺めていた。
自分の住みたい地域の家賃が高いことくらい、知っている。
さらに言うと、相場も、どの物件が上がっているかも、本当によく知っていたと思う。
なぜさっさと持ってきた物件の内見に行かせてくれないんだろう。
持ってきたもの以外見る気はないのに。
わたしはだんだんイライラしてきた。
とりあえずこのCだけでいいんで、見せてもらっていいですか?
この一言で、やっと、はやく内見したいという要求が通った。
わたしと岡崎は、どうでもいい話をしながら、物件を見に行った。
店内が、オラオラしていますね。
え、そうですか?はじめて言われました!!
宇宙一、どうでもいい。
内見した物件Cはとても広くてきれいで、よかった。
ただ、やはり即決というわけにはいかず、1度帰りますね、と伝えた。
すると岡崎は、
あの、さっきの管理会社がお休みって言ってたBの物件、僕前に1回入ったことあるんで、もしかしたら今日見れるかもしれないッス!今から行きますか!?
まじか
行く行く!と、すぐさまついていった物件Bは、最初に見たCよりも、かなり理想に近かった。
もうここにしたい!
と喜ぶわたしに、
でもここ陽当たり悪いですけどいいですか?
と難癖をつける岡崎。
何がしたいんだこいつは
じゃあ今から帰って、入居申込書を書いて、申込金を払ってください
え、なんかやだそれこわいんですけど......。
え、なんでですか?でも、やはりうちとしても申込金を払っていただかないとご案内ができないので......。
と、いうことで、支払った申込金の預り証が、こちら。
この時点で、まぁまぁの大金を払ったわたしに、岡崎は、
もしBが審査に落ちたらどうしますか?最初に見にいった物件Cも申し込んどきます?
と聞いてきた。
ご縁の問題なのでそこまでしなくていいです、と断り、わたしは帰宅した。
それから6日経った火曜日、岡崎から着信があった。
審査落ちました。バタバタ物件を探すんで、希望を教えてください!!!
まじか
生まれてはじめて、審査に落ちた。
ショックで震えるわたしに、希望を聞く岡崎。うるせえ
この後、2時間ほどスーモを眺めながらフラフラと歩き回った。
と、そこで、最初に持っていった物件の、もう空いてないと言っていた物件Aが、空室がいくつかあるマンションだということに気づいた。
すぐさま、「Aあいてるやんけ。」という内容のメールを岡崎に送った。
翌日になって、あいてるみたいです!と連絡をしてきた岡崎に、
もう、こいついいや。
という感情が、やっと、芽生えた。
なんか、関わっていたらいけない気がする。
ちっとも仕事しない私の中の女の勘が、今やっと機能した。
「とりあえず申込金を返してくれますか?」
というメールを送ると、すぐに電話がかかってきた。
じゃあ、預かり証の原本を弊社に送ってください!
いや、それだと手元に原本がなくなるので困ります。
PDFでデータをお送りするので、振り込んでください。確認でき次第、原本をお送りします。
なんでですか?疑ってるんですか!?ちゃんと返しますよ!!トラブル防止に言ってるんですよ!
いや、トラブル防止はこっちのセリフだよ
わたしが預かり証持っていたところでなんのメリットにもならないですよね。
そもそも発生しなかったやりとりのお金なので。はやく返してください。あと、ちょっと疑ってます。
わかりました、上に確認してまた連絡します......。
わたしはこの電話を切った後、すぐにPDFで預り証のデータを送ったが、この後、岡崎から連絡が来ることはなくなった。クソが
2週間後
全く返ってくる気配のない預かり金について、父に電話連絡をしてもらった。
岡崎によると、月末処理で来週の火曜(1/31)に娘さんの口座に振り込みます、とのこと。
そして1/31、
岡崎からメールが届いた。

もう、ほんと、こいつダメだな......。
この会社の株、誰が買うんだよ。
今日は返せないけれど、今週中には返せるお金って、なんなんだろう?
もう色々よくわからない、本当にもう関わりたくない。
わたしはここで、別のやり取りをしていた、友人の門伝さん(暮らしっく不動産とラインズマンの代表)に相談した。
すると、ものすごいスピードで電話がかかってきた。
それ、違法です!!!賃貸で最初にお金もらうとかありえません!!強く返してと言ってください!
いつも丁寧な門伝さんが、ものすごい早口で喋ったので、ちょっと驚いた。
※平成4年に東京住宅局が「特別なケースを除いて手付金は禁止」という指導を出しています。
暮らしっくでも以前取り上げています。
賃貸の手付金は原則禁止です! 賃貸の手付金と予約について(暮らしっく不動産)
やっぱりそうなんですね......。一応、今週末返してくれるとのことなので、週末まで待ってみますね......。
お金が返ってきても、手数料とか引かれてたら、それもダメなので、もしそんなことがあればすぐに教えてください!
クレームを言えるところがありますんで!!!
わぁ、岡崎、手数料、引いてきそう。
もうおわかりかと思うが、このとき感じた予感は3日後、現実となった。
お金は振り込まれていたものの、きっちり手数料834円が引かれて振り込まれていたのである。
てか、どこの銀行から振り込んだんだよ、834円て(そこじゃない)。
門伝さんに詳しく話を聞いてみると、申込金を取るのも、なかなか返さないのも、物件Bに入った(不法侵入)のも、すべて違法らしい。
物件Bの管理会社に問い合わせても、申込金などは、もちろん徴収していない。
岡崎、前科何犯なんだろう
こうして、文章にしてみると、怪しい部分や悪徳な部分がかなり見えているのですが、不動産屋に騙されることなどないと言う勝手な先入観により、まんまと騙されてしまった。
今回の被害額は834円と少額ではあるが、1ヶ月間、6桁のお金が、もしかしたら返ってこないかもしれない。
と言う不安は結構なストレスだった。
悪徳不動産は、確実に存在する。
みなさま、物件選びは、どうか、お気をつけて......。
なんでこうなったの? 5つの疑問点
1 物件Aは、なぜ空室があるのに、内見できないと言われたのか? おとり物件?
はい。 門伝が回答します。
調べてみたら物件Aはまだ空いていました。
12月頃に募集をはじめて、この相談を受けた2月でも募集中、内見もできるような状況でした。
おとり物件ではありません。
悪徳不動産屋さんが内見を断った理由としては、物件Aを進めたくなかったからだと思います。
進めたくない理由として考えられるのは、大きく2つ。
① 他に勧めたい物件があった
② 内見の手配が面倒だった
キャンペーンなどで、管理会社よりボーナスが出る物件というものが賃貸物件では存在します。
悪徳不動産屋さんでは、情報操作をしてそのような物件だけを勧めてきます。
それが①のパターン。
②も同じようなパターン。
物件によっては内見の設定が大変なものもあります。
それも情報操作で「見れない」と断る場合もあります。
2 不法侵入は罪に問われないのか?
このように勝手に建物に入ってしまう不動産屋は要注意です。
所有者や管理会社が見ていないので、罪には問われにくいですが、行動としてはNG。
3 預り証の原本を言われたとおりに送っていたらどうなっていたのか?
お金を返してもらっていないのに、預り証を返してはいけません!
預り証は、唯一の証拠です。
それがお金と言っても過言ではありません。
言われたとおりに返していたら、お金は戻って来なかったかもしれません・・・。
4 Bの審査は本当に落ちたのか?(その後審査が通った物件のほうが家賃が高いのに)
中村さんの属性を見てもあまり審査に落ちるような印象はありません。
真相は不明ですが、これも情報操作の可能性もあります。
5 結局何がしたかったのか?
返さないつもりだった可能性もあります。
申込金詐欺です。
このような相談ときどき受けます。
キャンセル料だと思ってお金は戻ってこないと思っている人も多いようです。
何度も繰り返しになりますが、
「不動産賃貸の申込金、預り金、手付金は、契約にならなかったら返っています!」
気をつけましょう!
さいごに
そもそもですが、賃貸で申込金、預り金、手付金は基本ありません。
平成4年に東京住宅局が「特別なケースを除いて手付金は禁止」という指導を出しています。
暮らしっくでも以前取り上げています。
賃貸の手付金は原則禁止です! 賃貸の手付金と予約について(暮らしっく不動産)
気をつけましょうね!
不動産トラブルにあったら、こちらに相談しましょう。
不動産トラブルの相談窓口まとめ(暮らしっく不動産)