こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
不動産屋さんでもらえる間取り図。
複数の部屋を比較検討するうえで、部屋の大きさは気になるものですね。
家に帰って定規を当てながら物件Aの部屋は横幅が◯◯cm、物件Bの部屋は◯◯cm。
こんな計測の仕方していませんか?これは全くもってあてになりません。
今回は先日紹介させていただいたCASE Shinjukuさんの建築図面を元に解説したいと思います。
(CASE Shinjukuさん、ありがとうございます。)
CASE Shinjukuのリニューアル現場へ行ってきました
https://www.kurachic.jp/column/1569/
間取り図
"間取り図"とは部屋のイメージ図です。
部屋の大きさが何帖で、収納があって、トイレがあって、方角がどちらを向いていてというのを確認するのに使います。
部屋のイメージ図なので寸法や縮尺は考慮されていないというのがポイントになります。
不動産屋さんが間取り図を作成する時には間取り図を作成する専用ソフトを使用したり、Illustratorを使ったりとお店によってバラバラです。なので、間取り図を元に家具の配置計画や部屋の大きさを比較検討するのはナンセンスといえます。
建築図面
こちらは建築図面と呼ばれるもの。
実際に工事を行う職人さんはこのような建築図面を参考に部屋を作っていきます。
設計士さんが CADと呼ばれる専用のソフトを使用して作成します。
縮尺の表記もきちんとあります。上記の写真でいうとA3でプリントした時に1/100のサイズになっていますよ。
という事がわかります。
1/100であるということがわかっているので、上記の写真のような三角スケール(通称さんすけ)を使い、図面にあてて計測していくと計測したい部分が何mあるのかを測ることができます。
先ほどの図面を実際にA3でプリントアウトして三角スケールで計測してみました。
1/100の図面なので、1/100のメモリを使います。
900mmというところにあててみると、見事に三角スケール上でも900mm。
建築図面では基本的にmm表示を使うというのもポイントです。
試しに"通路"と書かれた部分の寸法を計測してみました。
壁の真ん中と思われる部分に端を合わせて計測してみると1700mm。
壁の厚みを差し引いても1500mm以上はあると思われますので十分な通路の広さということがわかります。
(おそらくこの幅であれば車椅子も通れます。)
建築図面には様々な種類があり、電気の配線図のみを記した電気図面と呼ばれるものや、照明だけを記した照明計画図と呼ばれるものなど用途ごとに数種類の図面が存在します。
職人さんは自分の仕事ごとに必要な図面が割り振られそれを元に施工していきます。
照明の種類やエアコンの吹き出しが記載された図面。
家具の高さなどが記された展開図。
不動産屋には、なぜ建築図面がないのか?
施工する時に使う、建築図面。
賃貸の間取り図のところに建築図面があったらいいような気もしますが、何故置いてないのでしょうか。
そもそも大家さんが持っていない。どこかにやってしまった
まず考えられるのがこれ。
建築図面というのは建築する時に必要なものなので普段は見ることがありません。
築年数が古くなると、さすがの大家さんも倉庫の奥に眠っていたり、捨ててしまっていたりと様々です。
その状態で不動産屋さんに"管理をお願いします"という状態になるので、建築図面は無いことがほとんどです。
中には大家さんが手書きで定規でひいた図面のようなもので募集をかけている物件もあります。
また、前述したように建築図面は縮尺というのが非常に大事になってくるのですが、何回もコピーしているうちに元々の縮尺がわからなくなっているケースもあります。
それってA3のフチなしコピー?フチありコピー?
1/50 or 1/100?
ちなみに大家さんが募集をお願いしてくる時には以前の管理会社が作成した間取り図であることも多いです。
流動的なのでそこに作る価値があまりない
二つ目に考えられるのはこれ。
賃貸物件というのは非常に流動的。
平面図と内見で決めるというのが、もはや当たり前の文化になっています。
その状態で業界がまわっているので、"測量+図面をひく"というところに経費をかける意味があまり無いということも言えます。
測量+図面をひく
これは結構時間もかかります。壁の厚み、床の厚み、壁紙の種類etc
建築図面をひこうとするとかなりの情報を集めなければいけません。
現況優先
図面には大概、この言葉が書かれています。
図面よりも実際に存在する物件そのものの仕様を優先しますよ。という意味です。
入れ替わりが多い"賃貸"では室内洗濯機置場が新しくなったり、お風呂が新しくなったりと数年おきにリフォームを行います。何年も行っているともはや元々の仕様とはだいぶ異なるものになっていたりします。
前の入居者が退去してから次の入居者が入るまでの短い期間の中で工事を行って現況の図面を引きなおして保管するというのは時間的に難しいというのが現実としてあります。
まとめ
- 間取り図と建築図面は異なる。
- 不動産屋は大家さんの委託を受けて募集をするが、大家さんそのものが持っていない場合が多い。
- 間取り図に定規をあてて計測しても意味がない。
- 賃貸は流動的なので計測+製図+保管という工程を行うところに経費をかけられない。
- 賃貸はリフォームも頻繁に行われるので元々の建築図面があてにならない。現況優先。
建築図面と間取り図は全然違います。
間取り図は家具配置の予想などには適しません。採寸をきちんと行い、家具配置をするようにしましょう。