こんにちは暮らしっく不動産の門伝です。
昨日、話題のシン・ゴジラを見てきました。
ただの怪獣映画という訳ではなく、考えさせられる描写が多くて面白かったです。
映画の中ではゴジラさんによって、建物がたくさん壊されていました。
いとも簡単に・・・。
「ああ、自分の住んでいるマンションがぁっ!!」という人もいたのではないでしょうか。
命は助かったとして、あのように建物が壊れたらどうなるのか?不安に思う人もいると思います。
今日は不動産屋の見解として、「ゴジラに建物を壊された後」のことについて考えていきたいと思います。
1. 賃貸の場合
賃貸で建物が壊れて住めなくなった場合は、そこで契約は終了となります。
多くの賃貸借契約書の元になっている国土交通省の契約書を元に見ていきます。
このような場合は、4ページ目の第12条が該当します。
第 12 条 本契約は、天災、地変、火災その他甲乙双方の責めに帰さない事由により、本物件が滅失した場合、当然に消滅する。
国土交通省 賃貸住宅標準契約書より
http://www.mlit.go.jp/common/000991359.pdf
今回の映画のようにゴジラが建物を無差別に壊した場合は、この12条の「その他甲乙双方の責めに帰さない事由」にあたります。
ゴジラが壊した日で契約は消滅ということになり、家賃もこの日までとなります。
家賃の心配は要りません。
その後住むところが心配になりますが、これは仮設住宅などが国から用意されると思うので大丈夫でしょう。
契約は終わっているが、まだ入居していない場合
契約しているけど、まだ住んでいない、まだ契約日がスタートしていないケースもあるかと思います。
そのような場合でもこれは適用されます。
契約金、仲介手数料など振り込んでいる場合は、全て返金となります。
建物が無くなっていて住めないので、当然ですね。
ただこのような状況だと不動産屋も臨時定休日でしょうし、書類もないかと思います。
落ち着いてから後日で返金の手続きとなるでしょう。
2. マンションを買って、所有している場合
マンションがこのように壊れてしまった場合は、建てなおさないと住めません。
しかし立て直すかどうかは自分ひとりの判断では決められません。
マンションには、区分所有法というものが設定されています。
区分所有法
https://ja.wikipedia.org/wiki/建物の区分所有等に関する法律
建て替えには、そのマンションを所有する全ての人と「建て替え決議」をする必要があります。
建物の区分所有等に関する法律第62条
https://ja.wikibooks.org/wiki/建物の区分所有等に関する法律第62条
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
建て替えとなると、4/5以上の人が建て替えに賛成しないと建て替えられません。
ゴジラは壊した場合ではありませんが、建て替えで話題になったニュースがこちら。
三井不動産の傾きマンション。 一体何を信じればいいのか。(暮らしっく不動産)
https://www.kurachic.jp/column/746/
一時、世間を賑わせた三井不動産の傾きマンション問題です。
この時は建てた三井不動産が悪いという見解になって、建て替えということになりました。
費用について、三井不動産らが負担することに。
しかしゴジラや災害で壊れてしまった場合は、基本的には住民のみんなで負担することになります。
ローンも残っていたりすると、ローンにプラスして追加の建替え費用を出さなければなりません。
三井不動産の傾きマンションの建替えの件、建替え費用は400億円とも言われています。
傾斜マンション全棟建て替え費用400億円 三井不など関係各社(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04817820T10C16A7TI1000/
1戸あたり5,600万円。
このマンションは705戸あったらしいので、そこから計算すると1戸あたりの費用は5,000万円ほどにもなります。
誰のせいでもなく、災害などで壊れてしまった場合は、かなりの高額費用負担が発生します。
もちろん保険などもあるので、全額をというわけにはならないとは思いますが、それでも大きい数字です。
修繕積立金がある程度あったとしても、1,000万以上の費用負担は発生するでしょう。
このような状況で4/5以上で可決されるかは難しいところだと思います。
大きな災害の後だと「もうここに住みたくない」という人も出てくるでしょうし。
こう考えると、不動産を所有するリスク(特に区分マンション)というのは大きい部分もあります。
ゴジラのような災害の可能性は?
(写真は2016年 ニコニコ超会議の特撮体験スタジオから)
ゴジラは多分来ないとは思いますが(笑)、日本は地震などの災害リスクがあります。
最近は気候も少しづつ変わってきて、今年は台風の被害もかなり大きものがありました。
不動産を買うときはいろいろなことを考えて買ったほうがよいかと思います。
それではまた。