こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
熊本の地震で沢山の住宅が倒壊しました。
テレビやwebで見ていると倒壊しているほとんどの建物は古い築年数の印象です。
九州にも東京にも住んだことがある、ぼくの個人的な感覚では九州の家というのは台風がよく来る関係もあって、屋根は大きく重みがあり、台風に伴う洪水も考慮して高床にしている印象が強いのです。
今回はそれが裏目に出たような気がしています。
重心が上にあれば横に振られた時の力も大きくなりますよね。
でも、それ以上に倒壊した建物は旧耐震の建物が多いようだというのが根本の原因にあると思っています。
出典:国土交通省 合同委員会概要
http://www.mlit.go.jp/common/001147568.pdf
2016年10月に発表された国土交通省のデータでは旧耐震の家が倒壊・大破しているというデータが出ています。
※2016年10月29日追記
旧耐震と新耐震
なんとなく知っている人は多いかもしれませんが、建物には1981年6月1日以降に建築確認申請がおりた新耐震基準と呼ばれるものと1981年6月1日以前に許可がおりた旧耐震基準と呼ばれる基準があります。
さて、どの程度の違いがあるのでしょうか。図にまとめてみました。
旧耐震基準
旧耐震基準では"震度5程度の地震でも倒壊しないこと"という基準があります。
倒壊しなければいいのですから、"ヒビが入る"や"住めなくなる"かは問題ではないのです。倒壊しないことにより人命が守られればそれでOK。
では震度6,7の地震はどうなのだ?という話になるのですが、震度6,7は考慮されていません。
この当時はそのように大きな地震が来るとは誰も思っていなかったのでしょう。
新耐震基準
1981年6月以降に建築確認申請がおりた新耐震基準では次のように基準が見直されました。
震度5程度の地震では"倒壊しないこと"から"中規模の地震動でほとんど損傷しない"となりました。
国土交通省のホームページでは"建築物の存続期間中に数度遭遇すべき稀に発生する地震動に対してほとんど損傷がしょうずるおそれのないこと。"と書いてあります。
では大規模な地震ではどうでしょう。
震度6,7クラスの地震。阪神大震災や今回の熊本の地震(一番大きいところでは震度7だったようです)がきたときの基準も考慮されています。
"倒壊しないこと"
このクラスの地震で倒壊しない強度が求められています。
国土交通省のホームページでは"建築物の存在期間中に1度は遭遇することを考慮すべき極めて稀に発生する地震動に対して倒壊・崩壊するおそれのないこと。"と書かれています。
出典:国土交通省 住宅・建築物の耐震化について
http://www.mlit.go.jp/common/000188539.pdf
旧耐震と新耐震でどれほど差があるのか?
旧耐震と新耐震では被害にどれほどの差があるのかは国土交通省のホームページに阪神大震災の時のデータがありました。
出典:国土交通省 住宅・建築物の耐震化について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
1981年以降に建築された建物でも大きな被害を受けた住宅は存在しますが、以前と以後では被害状況に大きな差があることが、おわかりいただけますでしょうか。倒壊した多くの家は設計容量を超えた力がかかったので壊れたと考えることができます。
もちろん1981年以前に建築された建物でも耐震診断の基準を満たしている建物も多く存在します。
ですが地方や田舎の家では高齢者が多く"今更建て直しや補強をしてもねぇ。。。"という声もあり進んでいないようです。
賃貸においては1981年以前に建てられた建物が耐震基準を満たしているのかは情報としてはあがってこないので不動産屋ではわかりかねます。
重要事項説明書で耐震診断の有無は記載されますが、物件探しや内見の段階ではこの情報はわかりません。
ちなみにで書いておくと税法上で定められた減価償却の耐用年数は木造22年、鉄骨造34年、RC造47年となっています。テレビやwebで見る限りでは今回の熊本地震で倒壊した多くの家が木造で1981年以前の建物ように思われます。細かなデータが出てくるのはもっと先になりそうですが。
さいごに
賃貸でいえば旧耐震の木造アパートなどは家賃も安めの傾向にあります。
家賃が高いというのは立地や設備の問題もありますが、築年数も大きく関係してきます。
また、旧耐震の建物でも中身だけフルリフォームしてしまえば見ためは綺麗ですが躯体は変わらずに古いということもあります。
家賃には理由があります。
部屋の内装は綺麗なのに相場よりも安いなと思ったら、まずは築年数を見てみましょう。
それでは。