こんにちは暮らしっく編集部です。
熊本をはじめとした九州地方で起きた地震は大きな被害をもたらしました。
これ以上被害が広がらないことを祈ります。


今回、地震によりたくさんの家が倒壊してしまったようです。
暮らしっく不動産のメンバー、普段の仕事は不動産の仕事なのでたくさんのアパートを見ています。 
「見た目の築年から、あの壊れたかたには少し不自然がある」というのがスタッフ間で話題になりました。

今回、そのアパートについて調べてみました。

改築? 本当の築年が隠されている?

潰れた理由に関しては様々な憶測が飛び交っているようで、ネットを見る限りでは、「ねじまがった地盤の上に建設されていたから」「手抜き工事だ」などと書かれていました。

真相は専門家でないとわからないのですが、不動産屋の立場から気になったのは下記の書き込みです。

img_201604171333506dc6757e6ba6e7fd8c30b061503a96a3ef0b16da.png

東海大学には複数の寮があるようなのですが、潰れてしまった建物は"改築◯年"となっているようです。

物件名

住所

種別

間取り

賃料

東海大学

阿蘇校舎

までの距離

グリーンハイツⅠ

熊本県阿蘇郡南阿蘇村

木造

改築7

1K

3.2万円

5分

グリーンハイツⅡ

熊本県阿蘇郡南阿蘇村

木造

改築5

1K

3.2万円

5分

グリーンハイツⅢ

熊本県阿蘇郡南阿蘇村

木造

6

1K

3.2万円

5分


改築5年?
今回倒壊してしまったアパートのうちの一つであるグリーンハイツ2は、このような表記で入居募集が行われていたようです。

  • セコム防火システム完備
  • キャンパス近い
  • 風呂・トイレ別
  • 防犯カメラ付き

「設備が充実してます」という訴求方法ですが、肝心の元の築年数については記載がありません。

実は昭和49年築の木造だった

本当の築年数を調べるために法務局から情報を集めました。
登記簿上の築年数は以下の通り。


木造の昭和49年築、これが登記簿謄本です。
築年数でいうと42年。 結構古い建物でした。

実際改築して登記していなかっただけかもしれませんが、登記されている築年だとこの通り。
「改築」とだけ表記していてのは、このようなことを隠すためだったのかもしれません。


通常、不動産で記載する築年数はこの登記簿謄本からの築年数を使います。

※日経新聞では、「1981年以前」との解釈。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02798210W6A520C1000000/

注意!】リフォームやリノベーションの年月は建築年月ではありません!

改築は、築年数ではありません。

不動産公正取引協議会からも以前このような通知が出ています。

 建築年月の不当表示として多く見受けられるのが、リフォームやリノベーション(以下「リフォーム」といいます。)を実施した年月を、「建築年月」の項目欄に入力した広告があります。

 リフォームをしたことを告知することは、賃貸でも売買でも大きなセールスポイントの一つであるのは間違いないと思います。
 しかし、各ポータルサイトの「建築年月」の項目欄に入力する年月は、広告する建物(物件)が一番最初に建築された年月(「新築」された年月)を入力することになっています。

引用 http://www.sfkoutori.or.jp/portal_bukai/info/jirei/2013/201311.html

今回のように改築◯年というのは、NGということです。

賃貸の築年数偽装は多い

賃貸物件の築年数偽装は意外と多いです。

不動産公正取引協議会から公表されている違反例はこちら。

http://www.sfkoutori.or.jp/jirei/ihan/h_23.html

不動産売買ではこのようなことはほとんどありませんが、賃貸では契約書類も少ないことからこのようにごまかしをするところは少なくありません。

見た目にごまかされないように!

柱や梁だけを残して新築そっくりにすることは現代の技術ではいくらでもできます。
柱や梁は現代の住宅においては内装部分に見えてくることは基本的にないからです。
築年数を見た目だけで判断するのはぼくらでも難しいのが現状で、データがない場合は外壁やデザインの流行り廃りから予想するしかありません。
しかし、肝心の外壁やデザインが新築のようにされてしまうと判断がしにくいのが現状なのです。

改築、リフォームなどで、耐震を考えて柱や梁を強化することもありますが、お金がかかることなので、中にはそのままにするケースもあると言います。
改築などで見た目がきれいでも、中身もしっかりと改築されているかは分かりません。

今回、築年数が古いから倒壊したかは分かりませんが、不動産の入居募集について少し疑問に思う部分があります。

さいごに

不動産会社は図面にリフォームした年を記入していることも多く、実際の築年数が不明な物件も多いのが現状です。
怪しい築年数は、今回のようにきちん調査してすれば分かります。
怪しい建物などはしっかり調査を行うとよいでしょう。 (登記簿謄本は一般人でも取得できます)

震災の被害に遭われた方がいち早く日常を取り戻されることを祈念させていただきます。